オランダ人アーティスト・キム・ボスケは、時間や空間、そして自然との関係性をテーマに、写真と映像による表現を探求している。過去と現在の視覚的断片を重ね合わせることで、「いま」という瞬間を再構成し、目には見えない現象を浮かび上がらせる。

本書では、2018年から7年にわたって、彼女が徳島県の山間に位置する神山町を継続的に訪れ、神山アーティスト・イン・レジデンス（KAIR）に参加し制作した作品を紹介する。
作品は、時間をかけてその土地と関係を築いていく、プロセスベースの制作姿勢を反映するもので、天然藍染や手漉き和紙といった地元の職人との協働を通じて、自然環境は主題であると同時に、作品の物質そのものとしても存在している。
ここでは自然は比喩や象徴ではなく、直接的に、そして能動的に作品に関与している。時間、顔料、繊維を通して、風景そのものが作品の内部に染み込み、刻まれていく。

本プロジェクトの核となるのは「重なり」という構造である。風景を固定された全体像としてではなく、断片や透明層、リズムとして立ち現れさせる手法をとっている。これはドゥルーズとガタリのリゾーム的思考（要素が非線形に接続し、分岐し、また交わる構造）に着想を得たものである。


書籍名：Kim Boske / Kamiyama
頁数：306ページ（ハードカバー）
サイズ：280 x 220 mm
発行元：Fw: Books
発売年：2025年


【備考】
・印刷による小さなシミが見られる場合がございます。製品の仕様として、あらかじめご了承ください。
・店頭併売品のため、細かなスレや軽度のダメージなどが生じる場合がございます。コンディションの詳細につきましては、お気軽にお問い合わせください。