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フランス人フォトグラファー、ステファン・クチュリエ(Stéphane Couturier)による作品集。2025年7月から10月にかけて「アルル国際写真フェスティバル(Les Rencontres d'Arles)」において「モンマジュール修道院(Abbaye de Montmajour)」で開催した展覧会に伴い刊行された。
作者は、トヨタの「バランシエンヌ(フランス北部ノール県)工場(Usine Toyota - Valenciennes)」やブラジリアの建築物などを様々な視点で捉えてイメージを組み合わせた代表的なシリーズ「MELTING POINT」や、北インドの都市チャンディーガルでル・コルビュジエ(Le Corbusier)とピエール・ジャンヌレ(Pierre Jeanneret)が手がけた建築や、アルジェの象徴的な建物などを真正面から水平垂直に捉えたシリーズなどで知られる。「MELTING POINT」シリーズにおいては、写真というメディアと、客観的であるはずの写真の性質との関係を再考しており、複数のイメージを重ね合わせることで、抽象と記録を融合させた非常に多様な形態と色彩によって構成される絵画的な描写を生み出している。
今作において作者は、モダン住宅の傑作である「ヴィラ E-1027(Villa E 1027)」に足跡を残した2人の建築家、アイリーン・グレイ(Eileen Gray)とル・コルビュジエ(Le Corbusier)を結びつけることで、その「芸術性の統合」という概念を探る。
アイルランド出身のプロダクトデザイナーであり建築家のアイリーン・グレイが、恋人であり建築家、建築評論家であるジャン・バドヴィッチ(Jean Badovic)のために、この「E 1027」プロジェクトを建築のマニフェストとして構想したのは1926年のことだった。フランス、ロクブリュヌ=カップ=マルタンに建つこの別荘は、二人の名前を組み合わせた暗号としてこの名が付けられた。「E」はアイリーンのE、「10」はアルファベットの10番目にあたるJとしてジャンを意味し、同じく「2」はバドヴィッチのB、「7」はグレイのGを指す。
完成から10年後、のちに歴史に刻まれる驚くべき出来事が展開された。1938年と1939年、ル・コルビュジエが大胆にもこの場所の壁に介入し、フレスコ画を描いた。アイリーン・グレイの許可なく描かれたこの壁を彼女は否定し、二度とこの別荘に戻ることはなかった。
作者は、現代において写真という表現のもと、その建築様式、描かれたフレスコ画、家具、外の空間を重ね合わせることで時代を融合させ、空間を再構築し、この象徴的な場所の歴史をスケッチしている。透明感が持つ自由さ、自然と建築がもたらす望遠鏡のような描写、ル・コルビュジエのフレスコ画とアイリーン・グレイがデザインした家具の細部を写し出すことで、この場所に誇らしさをもたらしている。そこから生まれる二重性をもったイメージは、動き、不安定さ、儚さ、ドキュメントとフィクションの間にある物事と世界における新たな認識を表現すべく、現実がもつレイヤーを複雑にすることができる。
本書はシリーズの全作品、約30点の大判写真作品で構成され、我々に豊かなディテールをもたらし、この建築が織りなすアンサンブルが繰り広げる「芸術性の総合」を見せてくれる。
タイトルに加えられた「+123」は、「12」が指すL、「3」が指すCをもって、ル・コルビュジエを表している。アイリーン・グレイの建築と、ル・コルビュジエの壁画を作者が融合することで、鑑賞者をある種の「芸術の和解」に誘うのである。
スイス・ローザンヌに建つ「エリゼ写真美術館(Photo Elysée)」のディレクターであり美術史家のナタリー・ヘルシュドルファー(Nathalie Herschdorfer)によるエッセイを収録。本作をふさわしき文脈へと位置付けている。
書籍名:EILEEN GRAY / LE CORBUSIER [E1027+123] by Stéphane Couturier
頁数:80 pages
サイズ:240 x 310 mm
発行元:ATELIER EXB
発行年:2025年
【備考】
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